emily

キリング・ファミリー 殺し合う一家のemilyのレビュー・感想・評価

3.6
疎遠になってた母親と弟が内縁の夫モリナに殺されたと聞かされ、ブエノスアイレスから久しぶりに田舎に帰ってくるセタルティ。そこで待って居たのは代理人というドゥアンテ。さらにはモリナの息子、もう一人の弟にも会う。ドゥアンテの保険金に引き出す作戦に乗り、助けを借りるが。

閉鎖的な田舎町、ドゥアンテナを知らない者はおらず、隙間仕事で金儲けをしている。母と弟が殺害され久しぶりに田舎に帰ってきたが、悲しむ様子は一切なく状況を利用し金儲けを企んでいる。ドゥアンテナはその登場から怪しい空気感を漂わせており、持ち前のずる賢さが計画を引っ張っていく。

そのやり方は安直で原始的で冷酷である。セタルティのお金集めを対照的な描写として交差させてることでまるで"善"のように映されているのが面白い。ドゥアンテの誘拐も徐々に行き詰まり、詰めの甘さもコミカルに転んで行く。

そこから畳み掛けるように血のつながりの持たない兄弟とドゥアンテ、誘拐されてる女性。不信感はありつつもお金のため仕事を受けた主人公に一気に明かされるドゥアンテの本性。すべての人間が金のために動くという皮肉な銃撃戦に、ひときわ異色のかすかな人間ドラマが交わる。ラストショットも見事だ。これからこの男はどう生きていくのだろう?甘い蜜を一度吸ってしまえば、駄目だとわかっていながらも後戻り出来なくなるのが人間の性だろう。
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