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ビジランテのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

ビジランテ(2017年製作の映画)
4.3
大型商業施設の誘致計画が進む、埼玉県のとある閉鎖的な地方都市深谷。
地元の有力者の子供である神藤三兄弟の長男・一郎(大森南朋)は父武雄(菅田俊)の死をきっかけに30年もの間行方知れずのまま、次男・二郎(鈴木浩介)は地元の市議会議員、三男・三郎(桐谷健太)は暴力団の下でデリヘルの雇われ店長というように、全く異なる道を歩んでいた。
そんなある日、一郎が突然2人の前に現われ、父の遺言書を盾に土地を相続すると主張し始める。
これをきっかけに、商業アウトレットモールの誘致に新藤家の土地が必要な二郎、過去の因縁にケリをつけたい三郎など三兄弟の欲望や野心、プライドがぶつかり合い、アウトレットモール建設予定地に住む在日中国人と自警団の抗争、やがて事態は凄惨な方向へと動いていく。
かつて自分たちを虐待した市長の父親を殺そうとしたが、家族と故郷を棄てた一郎と父親の跡を継ぎ出世することで死んだ父親に認められようとする二郎と兄貴に負い目を感じて生きてきた三郎の父親や過去や家族に縛られた三兄弟の葛藤、アウトレットモール建設予定地に住む在日中国人と自警団の抗争、アウトレットモール建設予定地の新藤家の土地をめぐるヤクザの抗争、テーマが散らばり過ぎて掘り下げ方が中途半端になっている。
特に新藤家の土地に執着する一郎、一郎に負い目 を感じている三郎の心情が分かりにくい。在日中国人に対する自警団の若者の反感すら利用する政治家やヤクザの悪辣さに背筋が凍る。
地方の閉塞感や家族の呪縛をテーマにしたサスペンスノワール映画。
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