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善惡の刃のmaverickのレビュー・感想・評価

善惡の刃(2016年製作の映画)
4.1
2017年の韓国映画。実際に起きた事件が基になっている。本国では動員数200万人越えの大ヒットを記録した。


2000年に韓国で起きたタクシー運転手刺殺事件がモデル。第一発見者であった当時15歳の少年が逮捕され、実刑判決で10年服役する。出所後に無実を証明するため再審を要求。警察の違法な取り調べが発覚し、大きな話題となった出来事である。

韓国映画らしい作風が心地よい安定の一本。腐った権力者に立ち向かう正しき心を持った人々に感動する。ずしりと重いテーマにコミカルさも交え、俳優の演技力と演出の巧みさとで見応えも十分。実話ベースでありながら、映画としての面白さもきちんと追及してある。ヒット作のお手本のような作品だ。

金のことしか頭にない主人公に正義感が芽生える過程は感動的。何が正しいことなのかを観る側は自然と感じ取ることが出来る。絵に描いたようなクズな奴らが悪者で胸糞悪いが、それを正義の心で覆す部分が痛快である。

『ヒマラヤ〜地上8,000メートルの絆〜』のチョン・ウが主人公を好演。『ミッドナイト・ランナー』のカン・ハヌルの迫真の演技も胸を打つ。ベテラン女優のキム・ヘスクは涙を誘う熱演を見せ、『ブラザー』のイ・ドンフィも存在感を示す。『華麗なるリベンジ』のハン・ジェヨン、ベテラン俳優のイ・ギョンヨンも強烈な印象を残す。脚本は所々でご都合主義な弱さもあるが、役者の安定した演技力がそれをカバーしている。それを堪能出来るのも本作の魅力だ。


感動のドラマ。だがこれを美談で片付けてはいけない。こんな暴挙や過ちの起こらない世の中にせねば。その必然性を強く訴える内容が素晴らしい。良き作品であった。
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