フィリップ=マーロウものだけど、ハンフリー=ボガードでなくエリオット=グールド版。ハワード=ホークス監督版でなく、ロバート=アルトマン版。
それはよくわかる(このサイト『ロング・グッド・バイ』レビュー参照)。
ぐうたらに見えて実は義理堅く、ハードボイルドな探偵という設定。
事件に巻き込まれ、切ない現実が浮かび上がるという物語がハードボイルドの定石だ。
そのあたりが巧く設定されており、脇役も面白い。
主役はコンビだが『傷だらけの天使』も、まさにアルトマン版寄りの青春ハードボイルドだった。もちろん松田優作の『探偵物語』も。
この探偵も実は怖くて凄いやつという構想を、監督はインタビューで語っているのだが、このたびは表現していなかった。
時間は短いが好きな世界観。特にオカマな仲間。いいコンビだ。
振り返ってみればコーエン兄弟も『ビッグ・リボウスキ』で、ポール=トーマス=アンダーソン監督も『インヒアレント・ヴァイス』で、アルトマンにオマージュを捧げている。
それに比較してしまうと厳しくなってしまうだろうが、俺は支持する。