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エクソシスト3: レギオン(原題)のStroszekのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

双子座の殺人鬼(Gemini Killer)の魂が、悪魔の手を借り、階段落ちした後のダミアン・カラス神父に取り憑き連続殺人を行なっていたというエクソシスト+シリアルキラー物という珍品。公開は90年代サイコキラー物流行の嚆矢となった『羊たちの沈黙』(1991年)の一年前。

カラス神父(の抜け殻)が精神病棟に辿り着いてから、死刑執行となったはずのジェミニ・キラーによる連続殺人再開まで15年経っているのだが、そのタイムラグを「カラスの脳細胞が破壊されきっていて、修復するのに15年かかった」とジェミニ・キラーが理由づけするのに「意外と科学的な説明つけるんだ…」と妙なところで感心した(脳の神経細胞そのものは再生せず、新生するだけ)。

ジェミニ・キラー役のブラッド・ドゥーリフが素晴らしい演技。顔の造りがマルコム・マクダウェルやティム・ロビンスに似ているため、途中までどちらかだと勘違いしていた。

しかし悪魔に取り憑かれた人の描写として「一人の身体の中にたくさんの悪魔がいる」レギオン描写が映画で使われるようになったのはいつからだろう。「我が名はレギオン」は新約聖書のマルコによる福音書5章9節が出典。

意外と直接的グロ描写は少ない。ジェミニ・キラーによる被害の様子は、口頭説明に現場風景をオーバーラップさせる、看護師を包丁を持ちシーツを被った男が追いかけるシーンの直後に首のない大理石像を映すといった比喩的手法を用いて表現して、巧みに直接描写を回避している。余談だが、看護師エミリー・キーティングが包丁を持った男に追われる短いシーンは、『CURE』の終盤、ファミレスでウェイトレスが包丁を持って先輩を追いかける場面に影響を与えているのではないか。あの唐突感。

仕事の納めどきや空き時間の関係で、クリスマス・イブにこの映画を観るという厨二病めいたタイミングになってしまった。
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