きゅうりのきゅーたろう

シネマ歌舞伎 女殺油地獄のきゅうりのきゅーたろうのレビュー・感想・評価

シネマ歌舞伎 女殺油地獄(2009年製作の映画)
4.4
大学の時、所属していた江戸文学のゼミの先生が絶対に一度は読んでおくべき名作だと仰っていたのでこれを機に鑑賞。

持って生まれた性から逃れられない悲しさが胸に刺さる。
一幕での喧嘩、継父との関係、お吉との関係など、様々な因果の糸が手繰り寄せた胸糞劇。
与兵衛にもう少し他人の善意を感じとる気持ちがあれば…。
現代に置き換えても通じそうな悲喜こもごもの脚本が素晴らしかった。

母親の、「こんな悪人を孕んでしまった」という言葉が刺さるし、与兵衛に殺意が芽生える瞬間、片岡仁左衛門が表情のみで表現した場面は凄まじかった。