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時間回廊の殺人のStroszekのネタバレレビュー・内容・結末

時間回廊の殺人(2016年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

タイムリープ物。

夫を殺害され、長男が行方不明になった主婦ミナ。25年服役し釈放されたあとで事件のあった自宅に戻ると、数々の不思議な現象に見舞われる。

老いたミナと事件当時のミナの様子が交互に語られる。

25年前のミナが遭遇した不思議な現象の半分くらいは、老人となったミナが引き起こしていた。

時空が歪み、25年ごとに家族が消える家。そんな家になった原因が、当時侵略・植民地支配していた日本軍だったという。1942年当時最も有力な陰陽師だった"あべのまさし"がその場所に家を建てることに執着し、そこに住んだ"渡部将軍"の一家が最初の犠牲者、25年後の1967年にそこに住んでいた母と二人の娘が次の犠牲者、それから25年後の1992年にそこに住んでいたミナの長男が3番目の犠牲者、そして2017年の現時点が、次の消失が起こる年…という設定。

老人となったミナが長男を25年前の自分の目の前から連れ去ったのは、心疾患を治して欲しかったから、というのはいささか辻褄合わせの感が残る。だって長男の心疾患については、ミナと彼の対話でたった一度言及されるだけだから。薬を飲んだり通院する描写がないのに、心疾患を患う彼を救うために25年後の世界に連れてきた…というのは唐突すぎる。

結局、夫を殺したのは25年後のミナで、理由は長男を殺そうとした夫を止めるためだった。ペイフォワード的な感じで前払いで罪を償っていたというわけだ。しかしミナは息子の命を救うためなら、自分の25年間が地獄のようなものになると分かっていても、何度でも同じ選択をしただろう。すとんっと腹落ちする選択とその末路は、タイムリープものとしては納得のいく結末。まったくエモ散らかしている。
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