Satoru1968

散り椿のSatoru1968のネタバレレビュー・内容・結末

散り椿(2018年製作の映画)
2.7

このレビューはネタバレを含みます

木村監督初の時代劇は持ち味である映像美に溢れている(かのように見えるが監督1作目の剱岳には遠く及ばない)が人間が描き切れていない。設定や心情をセリフで説明するシーンが多く登場人物に感情移入出来ない。富司純子と黒木華の対峙シーンなど不要なシーンもあってせっかく勢い付いた話が失速する場面も。

最後のヤマ場、決闘シーンは凄みのある殺陣で盛り上がるものの、その後の2シーンが冗長。妹、里美の心中をセリフで語らせるラストシーンはくどいし一気に冷めてしまった。木村さんは情景の美しさを撮らせたら天下一品だけど、演出の上手い監督では無いんだよなあ。あるいは脚本を委ねた相手が違ったか。はたまた自身初の時代劇で自信がなかったのか。いずれにせよ木村さんの撮影者としての持ち味を監督として最大限に活かしきれなかったのは残念。黒澤さんが生前話していたように映画は一に脚本、二に役者なのだろう。作品的には剱岳点の記の方がかなり好み。
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