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女と男の観覧車のYOKのレビュー・感想・評価

女と男の観覧車(2017年製作の映画)
3.8
AmazonStudio作品なのにアマプラか消えちゃうのー!?なぜ〜!?って思いながら鑑賞。作品の時代とかゴチャゴチャした感じとかレトロながらもカラフルな色味がめっちゃ好き。

ケイト・ウィンスレット好きなのよな。めちゃくちゃ綺麗なんだけど親しみもある感じある。今作では人生や生活に疲れた感じを前面に押し出した精神的にヤバい雰囲気が、こういう人いそう~!って絶妙な役どころで似合ってた。

観終えて最初に抱いた感想が「はちゃめちゃだったなぁ」だった。ひたすら愛が欲しくて現状に不満たらたらで人間くさくて毒親なケイト・ウィンスレットが観れる、ある意味で最高にハチャメチャな映画だった。

主人公のジニーの元に再婚相手の夫の娘(キャロライナ)が尋ねてくるところから話はスタート。ジニーは遊園地のダイナーで働いていて家も遊園地の近く。息子に夫に仕事にと悩みが尽きないところに訳ありのキャロライナがやってくるもんだから、もうてんてこ舞い。

キャロライナの夫が裏社会の人間で、やばい事になったから助けてパパー!って、なかなか。反対したのに!とパッパが怒りたくなる気持ちはわかるけどジニーにあたるのはお門違いだろ。そりゃあジニーも疲れ果てた表情と見た目にもなるってもんだわ。

「Us」って映画でもそうだったけど、海外の遊園地って海岸沿いにあるイメージある。確かUsでは移動式の遊園地だった気がするけど、シンプルに遊園地が移動するってすごいよなー。

ジニーと息子のやり取りを見てて、子どもの頃親に「この問題の解き方わからんから教えて」っていうと「そんな古いことは忘れた」って言われた時、「忘れても問題ならなんで勉強せなあかんのや」って思ったの思い出した。

ちょこちょこ案内人役で出てくるジャスティン・ティンバーレイクがこの物語にどう関係してくるのかな~って思ってたら、割とあっさり直ぐに分かった。なるほどね。

自身の浮気が原因で離婚して仕事を失い傷を舐め合うかのように今の夫と共にいるジニーが年下のイケメン恋人とイチャイチャしてるの、ちょっと羨ましい。浮気に懲りずまたしても…ってのは許すまじ行為だし、過去を悔いてると口では言うけどなかなか自分よがりな考えなのもうーん?だけも、愛されたいよな。わいも愛されたい。

リッチーが放火ばっかりしてるのって、ストレスから来るものなのではって思った。最初はこのガキンチョは何しとんだ!と思ったけど、暴力を振る義理の父親に現状に不満で鬱々とし他の男に走る母親だもの、不安定にもなるさ。リッチーの放火って自傷癖みたいなもんなんだろ、他にストレスを発散する方法を知らないんや。

ウディ・アレンらしい軽快なテンポと音楽と色使いとノスタルジックなレトロさ、なんだかんだ好きなんだよな。太陽光のキラキラ感とか神。後青とオレンジのライティングの使い分けがあまりにも好きすぎる。マジック・イン・ムーンライトは事あるごとに観たい1本。

しっかりこの作品、どいつもこいつも恋愛に現抜かしすぎでは?めんどくさい三角関係になっちゃってるし…みんな現状に不満が故に希望が持てる方へと突っ走ろうとする。ってか、どちらもまともに離婚してないのによくもまぁ他の男に突っ走れるな…エネルギッシュね。

結果的に嫉妬に駆られたジニー、大暴走。頭痛も留まることを知らずにうなぎ登り。息子にも大激怒で電子機器をぶん投げる。ジニーの情緒ヤバすぎるので息子は安心して預けられる場所に預けて自分も治療して不倫もやめた方がいいと思う。今の状況な誰にとっても不幸がすぎる。

最初から最後までジニーの奇劇で1人芝居に見えるの、すごい。誰一人として好きになれないキャラ設定なのにグングンと世界観に引き込まれてしまった。

こんだけ色々あったのに結局のところ何も変わってないの凄い。人生どう転ぶか分からないとも言うけれど、ここまで転がっておいてスタートに戻るのもなかなか。リッチーの今後がめちゃくちゃ心配だけどさっさと自立してこんな親からは離れた方が良いと思う。こんな親捨てたろ!!!

救いも何も無いストーリーなんだけど、なんでだか自分は好き。タイトルとパッケージから可愛い感じのストーリなんだろな!と思ってたら真逆でたまげたけど、観覧車ってタイトルが逸材。結局グルグル回ってもスタートとゴールは同じなんだなぁ。上手いわ。
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