これは仕事柄引っかかる部分も多い内容でした。
大前提として、夜間保育をやろうとする志に対しては最大限の敬意を表したいし、
今作に出てくる夜間保育園の存在がいかに重要かは見ればわかると思うんです。
しかし今作を見て考えなきゃならないのは、
社会のグランドデザインの話なのかなと思いました。
それは私がフリースクールを経営してるからなんだと思うけど。
フリースクールと同じように、
夜間保育なんてないと思いたい人がたくさんいて、
そういう人たちが想像力を働かせることもなく、
母親たちに罪悪感を植え付ける。
「本当にいいのかな?」なんていうセリフが母親たちから一度ならず出てくる。
たぶん夜間保育もフリースクールもない社会の方がいいけど、
それには夜間に働く必要のない社会や、
誰でも行きたいと思えるような学校が必要なわけで、
それを作ることは現実的とは言えない。
で、中盤からかなり療育の話へと突っ込んでくんだけど、
ここが一番、引っかかる部分でしたね。
この作品を見る限り、療育の目的は
学校に入ったときに苦労しないためということになると思うんですが、
そもそも私の立場からすれば、
そうやって学校に無理して行くこと自体を見直してほしいと思うのです。
つまり学校に行くことを前提とするなら
たしかに療育に力を入れるってなるのもわかるが、
なんで子どもが学校なんかに合わせなきゃならないのか?
学校でもフリースクールでもいいけれど、
その子どもにあった学び場を大人が作るのが正しいあり方なのではないのか?
少なくとも私はそう考えているので、
ここに登場する療育のあり方には違和感ありました。
今作を見ると療育は全肯定してるようだし、
エービーシーの園長が療育のあり方をめぐって奔走する姿が描かれてるので、
そこは議論の余地があることは理解してほしい。
とは言え繰り返しますけれど、
夜間保育をやっている方々の志には敬意を抱くし、
療育について考えさせられたことも含め、
すごく刺激は受けた作品でした。