Stroszek

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法のStroszekのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

ちょっと信じられないくらい恐ろしい映画だった。ゾッとした。

まず、見守る大人の目が届かないところで、幼い少年少女だけで過ごしている。モーテルという、人の目が少なく、車で走り去ることが容易な場所で。

そして、リゾート地ディズニーランド・フロリダ近くの道路は広く、日本の一般道とは比べ物にならないくらいの速さでビュンビュンと車が飛ばしている。いつ子供が吹っ飛ばされるかとビクビクした。

ジャンシーが一人で隣接するモーテルに帰ることになったとき、ムーニーがお風呂に一人で入ってるあいだ母親のヘイリーが部屋で何をしているか知ったとき、はっきりと死と隣合わせの生活であることが分かった。

ヘイリーはムーニーと一緒に暮らすためならそれこそ何でもするが、それはすなわちムーニーが危険に晒され続けるということだ。ユニットバスのドアを開けたとき、子供がいることに驚いて抗議する大人の男ばかりではないだろう。ヘイリーと一緒に暮らし続けるのは、ムーニーが性的な被害に遭う場面と隣り合わせで生き続けることを意味する。

児童保護局の職員がムーニーの手を簡単に離してしまったこと、ジャンシーの部屋の前のムーニーをいつまで経っても捕捉できなかったことを考えると、公的な制度も確実に役に立つわけではないのが分かる。あんなに子供たちを見守っていたボビーも、最後にはムーニーとジャンシーを見失う。

最後、ジャンシーとともに夢の国の中へ消えたムーニー。あの守銭奴なネズミの国がいくら子どもとは言え、そんなに自由な出入りを許すだろうか。彼らが本当はどうなったのか、観客に知らされることはない。
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