ラウ・チンワンが主演したダニー・パンの『惨殺のサイケデリア』は出来が良くなかったが、こちらはオキサイドの方で、サイモン・ヤムが助演で参加。
ダニーに比べ、映画セオリーへの敬意は感じられた。
サスペンスやカーアクション、そしてラブコメディと、さまざまな要素を盛り込んでいるが、いまどきな少女漫画テイストのご都合主義演出を最優先したうえで、全体をまとめている。
品のない照明はテレビドラマ風、舞台美術がやり過ぎなのは、却ってキッチュ。
思想はゼロのエンタメ、日本を含むアジア映画特有のベタベタなラブシーン演出は、特に気持ち悪い。
しかし幼さやか弱さを装う女性像でなく、肩ひじを張った強気な女性像が前面に押し出されているところに、中華圏の美意識も感じられた。