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ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリスのkogureawesomeのレビュー・感想・評価

4.0
過去鑑賞。

フレデリックワイズマンはもともとは弁護士だった。
「現代社会の観察者」と呼ばれ
半世紀以上にわたって、学校、病院、警察、軍隊、裁判所、図書館、議会など、アメリカの様々な施設・組織を撮り続けてきた。
インタビューやナレーションなどを使わず映像でじっと観察することにこだわっている。
監督の主張が全面に押し出されるというよりも一つのモチーフを多面的に写して「どう思うか?」問いかけてくるような映画だ。
ワイズマンは現役最高のドキュメンタリー監督と言われている。
私が今まで観たのは、
州立の精神病院のスタッフや患者の描写が物議を醸した 「チチカット・フォーリーズ」、
西部劇のような牧場からモダン・タイムスのような工場に至る「肉 」、
馬の出産から始まる「競馬場 」、
パリのナイトショーの裏側を捉えた
「クレイジーホース・パリ 夜の宝石たち 」だけだがどれも見応えがあった。

パティ・スミス やエルヴィス・コステロ の講演が行われたり、詩の朗読会、読書の感想を述べ合い理解を深める会があったり、ハローワークのような催しがあったり、運営側の会議ではホームレスが図書館に入ってくることについて、排除するのか共存の道はないかを話しあったり、約3時間半、飽きずに観れた。
視聴覚に障害のある人向けの図書館のシーンや、「真実」について語るシーンが二回出てきて、それぞれの言葉が興味深かった。今アメリカの歴史の教科書の中で奴隷制の表現が「移民労働者」と書き直されている問題や、持つものと持たざるものの格差など現在のアメリカについていろいろと考えさせられた。
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