景

イカロスの景のネタバレレビュー・内容・結末

イカロス(2017年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

ドーピングしても簡単にすり抜けられるのであれば薬物検査に意味などないのでは? と疑問を持つ→ブライアン監督自らドーピングして検証していく→アドバイスが欲しいのでロシア人のドーピングのスペシャリストを紹介してもらう→そのスペシャリストがロシアによる国家ぐるみのドーピング計画の中心的人物だったことが判明する、と当初の目的から思わぬ方向に展開していくのが壮絶。こういう「偶然」がストレートに影響し、そのまま映画に映し出されるのがドキュメンタリーの面白さの一つなのかもしれない。ただ、今回のケースでは監督やグリゴリーたちが命懸けで動いていることが伝わるだけに、悠長に「面白い」とも言ってられないよなとも。いやまあ面白かったんだけども(とはいえ前半のレースあたりはちょっとだれた)。

何故プーチンがオリンピックでの成果にこれほど執着するのか謎だったんだけど、支持率も理由の一つだということが映画で示されていて納得した。この成功体験がウクライナ侵攻に繋がっているのだとグリゴリーも言っていて、なんというか、もうね……。

あとお馴染みのバッハ会長が登場した時は思わず「うわっ」て声出た。私は今までオリンピックに興味はなかったけど、ちょっと前の東京五輪で心底嫌気がさした人間で、当然バッハ会長にいいイメージは持ってなかったからつい。そして悪い意味でぶれないバッハ会長をここでも見せられて、「ギャハハ」と空疎な笑いが出た。
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