2020

タクシー運転⼿ 〜約束は海を越えて〜の2020のネタバレレビュー・内容・結末

3.3

このレビューはネタバレを含みます

ソンガンホが出ている映画という事で見てみましたが、
この映画がきっかけで、光州事件という出来事があった事を知る機会になりました。

これ、事実をもとにしている系なのでもはやネタバレがどうとかいう作品では無いので、こういう事を言うと野暮ですが、邦題のサブタイトル?約束は海を越えて、は、壮大なネタバレになってますよね(笑)
まぁ超えるんだろうなと思って観てはいますけど。
かつ、映画は事実よりも衝撃的に描いている部分もあるだろうし、もっと抑えて描かれているかもしれないし、この事件の事についてはまだ未解明な部分も多いらしく、一つの参考、知るきっかけとして心にとどめておく必要はあるなぁとは思いました。

映画というエンタメというかメディアとして考えると、ハラハラはするけど、平和につながるきっかけになった勇気ある行動を描いている、という事で、ゴールは見えている、という点においてはどこかで安心して観られる作品ではあるので、絶望したくない人にとっては保険がかかっている作品という風にもいえるかもしれない。
ハラハラはしたいけど、胸くそ映画は見たくない…という人には良い作品かもしれない。そういう意味では大人から子どもまで見られるチューニングになっているともいえるのかもしれない。

とは言え、民間人が軍人に撃たれまくったり、病院のシーンは血まみれだったり、かなり壮絶なシーンになっているので、お子様に見せるには注意が必要かもしれない。でも凄く得るもの、考えさせられるものが多い作品にもなっていると思う。

英語がわからないから、私服軍人に捕まったあの学生が英語で逃げてっていうシーンもグッときたし、病院ではかわいそうだったな、、、。

ラスト空港で、タッチの差で軍が気づいたタイミングより遅く便を変更したから助かったというシーンもハラハラした。
クッキー缶作戦も良かった。


そして、主人公がユーターンするシーンは凄く考えさせられますね。
あの現場を見ておいて、離脱し、自分だけ娘のために、自分のために安全圏に帰る事ができるか…帰るも戻るも勇気のいる状況で、主人公の行動はとても素晴らしいなと思いました。
途中、命をかけて撃たれた人達を助けたり。
そういう意味ではラストのカーチェイス、タクシードライバーさん達の応援部隊は胸が熱くなった。(どっから来たんや!というのは置いておいてw)

まぁ、この主人公、キャラクター的にチャラチャラしているというか、どこか適当なおじさん感を前半は全面に出して進んでいくけど、そもそも何故そうやって明るく”ふるまって”みせているのかというと、奥さんとの悲劇があったり、つらい状況の中でも楽しく生きていく術だったりするわけで…
色々物語が進んでいって、状況が解けてくると、とっても胸に来るものがありました。
大家さんの、特に奥さんも、そういう状況を知っているから、厳しい事はいうけど見捨てずいるんでしょうね。泣ける。

調べてみると、光州からラスト送り届けた金浦空港まで結構距離があるんだなぁと思ったり、色々地理的な部分も含めて韓国の歴史を学べるきっかけになる映画でした。
ラストに実際の記者さんの映像が映ったりと凄く考えさせられた。
調べてみると、この映画がきっかけでこのタクシー運転手さんがみつかったそうで。(かなり前に亡くなられていたようですが。)
こういう、現実世界を動かすほどの影響を与える可能性がある、というところも映画って凄いなと思います。

あと、主人公の話の中に出ていたサウジの話も、調べてみると、1970-80年代に中東建設特需というのがあって、多くの韓国人の方がいわゆる出稼ぎでサウジに行っていた歴史があるそうですね。
そういう事についても知るきっかけになって、とても学びの多い作品でした。



あ!超余談ですが、ナンバープレートを変えるなら黄色いシャツも途中で着替えて欲しかった!
制服だし、派手だし、色々バレるってーと思いながら見ましたね!


後で書く。
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