てきさす

ベトナムを懐うのてきさすのレビュー・感想・評価

ベトナムを懐う(2017年製作の映画)
3.5
アメリカに移住したベトナム三世代家族の、世代と文化と歴史のギャップの話である。ベトナム語話者でベトナムに住んだ経験あり、農村ホームステイや路地の貧乏学生との交流も経験し、ベトナムラブな自分としてはわかりみある映画だった。ラストが安易だった以外は総じて良い。

ベトナムは未だ家父長制が強い儒教的社会で、一部レビューでクソ田舎と表現される農村部の方がむしろマジョリティである(日本人が知るベトナム、ハノイ、ダナン、ホーチミンが特別に発展してる)。
ゆえ、法治国家と相容れないことが起きる。
野生の鴨を捕まえることも、年上の言葉が絶対なことも、ベトナムでは常識で伝統である。
それを理解しているゆえ、生粋のベトナム人な祖父と、アメリカ人として育った孫娘のディスコミュニケーションの論点の噛み合わなさがよくわかる。
そしてこの手の問題は、日本に滞在するベトナム人が増えるなかで、日本でも起こりつつあると思う。

清貧なベトナム人のメンタリティは映画内の綺麗事でなく、市井のベトナム人に接すると、日常的に感じる。
もちろん、ズルくて金に汚ない人もいるが、多くのベトナム人は本当に健気で、家族思いで、愛国者なのだ。
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