真っ黒こげ太郎

スーサイド・ライブの真っ黒こげ太郎のレビュー・感想・評価

スーサイド・ライブ(2017年製作の映画)
5.0
※今回は以前書いた映画のレビューですが、文を加える&変更して、再掲載しています。
「いいね!」を押してくれていた方々はすみませんでした。


配給があのアルバトロスだから、すっごいバカな映画かと思っていた…

でも…



とある生放送の婚活番組で旦那側に選ばれなかった女性が旦那側の男を殺し、自分も拳銃自殺する事件が発生。

婚活番組で司会をしていたアダムは罪の意識に苛まれる。
だが、番組が高視聴率をマークした事から、「これは使える!」と考えたTV局の女社長は自殺志願者に自殺する場を提供し、生放送するという前代未聞の番組を企画する。

当然アダムは大反対。女性プロデューサーのシルヴィアも依頼を断る。
だが、嘘っぱちだらけのTV業界に嫌気がさしていたアダムは「誰かを救うための番組にする。」「構成等は自分でやる」等の条件で依頼を受ける。

「自殺志願者は、誰かを救うために自殺する。」
「視聴者に募金を呼びかけ、集まったお金を親族に寄付する。」

等の構成やアダムのアドリブ等も相まって、番組は大成功!
視聴率は過去最高を記録し、番組は賛否両論の嵐となりながらも話題に、アダムも一躍有名人に!

だがその一方で番組の成功が看護師をしているアダムの妹、そして周りの人々の人生、そしてアダム自信を狂わせてゆくのだった…。



自殺の生放送番組の成功を経て、次第に狂ってゆく主人公達を中心に、テレビ業界の闇や労働者の貧困等も描いた、社会派サスペンス・ドラマ。

以前レビューを書いた作品ですが、DVDを手に入れ再鑑賞したので、この機会に再レビューしてみます。


ぱっと見悪趣味でバカそうな映画だし、配給もB級映画のゴッドファーザーで有名なアルバトロスさんだったので、かなりバカでスプラッターな映画だと思って観たんですが…。

蓋を開けてみればかなり真面目なサスペンス・ドラマでした。


お話は、自殺の生放送番組の成功で段々と狂っていく主人公とその周りの人間関係を軸に展開しつつ、「家庭があるものの生活が苦しく仕事もクビになり次第に追い詰められてゆくとある一家の父親」や「兄が危険な番組を展開したせいでどん底に堕ちてゆく主人公の妹」等のエピソードを交えて展開される。

彼らのドラマは最初こそバラバラであるものの、話が進むにつれてそれぞれのドラマが収束されクライマックスを迎える展開は見応えがある。
それぞれのドラマもしっかり作り込まれており、見入った。
役者の演技もしっかりしてるし、主要キャラもしっかり描けている。
テレビ業界の闇や貧困といった社会問題もドラマに組み込んであり、考えさせられた。

クライマックスでは重苦しいながらも、最後まで目が離せなかった。
そしてラストは…。


所々変な場面やテンポの遅い所はあるし、見る人も選ぶと思う。
頭を空っぽにしてグロを楽しむ映画じゃないし、バカな映画を期待して観たら間違いなく外すと思う。

とは言え、社会の病んだ所を設定として盛り込みつつも、丁寧に作られたドラマや社会的な話を丁寧に描き、最後まで見せ切ってくれる良作だった。

観た後はかなり重い気分になるが、サスペンス・ドラマとしては結構な当たりだと思うので気になる方はどうぞ。



最近のアルバ系列配給作品はあまり見ていませんが、これは結構な当たり目でした。

余談ですが本作は小規模ですが劇場公開されたみたいです。
まぁ、これなら映画館で流しても許せるかな。

ついでにDVDも買ったけど、これは良い買い物だったと思う。