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刀剣乱舞 花丸 ~幕間回想録~のInagaquilalaのレビュー・感想・評価

3.6
コミック原作の映像化作品はいまや巷に溢れているが、最近の流れとしてゲーム原作の映像化作品が続々登場してきている。大どころでは「ポケモン」や「妖怪ウォッチ」などがゲーム原作にあたるが、これらは映像化以前にコミック展開がされており、いきなり映像化というコンテンツとは、やや意味合いが違う。いきなり映像化というと、最近では、「劇場版 Fate/stay night Heaven's Feel I. presage flower」が、封切り週の週末興行成績で、他の作品を押さえ第1位の座を占め、成功を納めているが、この「刀剣乱舞」もゲームからの映像化作品で、根強い人気を集めている。

作品の原案となったのは、日本の名刀を擬人化した「刀剣男子」を集めていくというシミュレーションゲーム「刀剣乱舞 ONLINE」で、女性ユーザーを中心に人気を博している。観賞した当日は平日の昼間にもかかわらず、劇場は9割がた若い女性、いかにこのコンテンツが女性に支持されているかが如実にわかる。今回の劇場版は、2016年10月から12月にかけてテレビアニメとして放送された「刀剣男子 花丸」を再編集したもの。年明けの1月から始まるシーズン2の「続『刀剣男子 花丸』」の前振りにもなる作品らしい。

実は、ゲームもデレビアニメもこれまでプレイしたことも観たこともなかったのだが、この刀剣を人に見立てた物語、実にユニークな感じがした。テレビシリーズからピックアップしてまとめたものらしいのだが、視点をひとりの人物のものに固定しているため、散漫になりがちなエピソードもよくまとまっている。時間軸も流れにそって整理されていて、門外漢にもよくわかるようにできていた。

そもそもゲームのなかの世界をそのまま移し替えて物語としているので、設定はなかなか理解しがたいのだが、それがまた不思議な物語世界を紡ぎ出している。このあたり、ゲームの映像化作品の真骨頂かもしれない。小説原作、コミック原作にはない世界観なり、描写の仕方を推し進めていけば、ゲームの映像化作品も今後ユニークなく品がどんどん生まれてくるような気がする。とりあえず、新春からのテレビシリーズは視てみたい。
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