Tラモーン

目撃者 闇の中の瞳のTラモーンのレビュー・感想・評価

目撃者 闇の中の瞳(2017年製作の映画)
4.0
フォロワーさんのレビューを拝見して居ても立ってもいられず鑑賞!


新聞社の実習生だったシャオチー(カイザー・チュアン)は雨の山道で自動車の当て逃げ事故を目撃する。シャオチーが被害車両に駆け寄ると運転手の男性は即死、助手席の女性も瀕死の重傷を負っていた。シャオチーは慌てて逃走車両の写真を撮影し、記事にすべく会社へかけ合ったが、事故は公にされず犯人も捕まらなかった。
それから9年後、部長記者へと成長したシャオチーは購入して間もない中古車を事故で傷つけてしまう。その車を修理に出したところ、車が事故車だったことが判明。しかも警察で照合すると、その車は9年前の事故の被害車両だった。


めちゃくちゃ面白かった!
ネタバレ厳禁作品なのでストーリーそのものには触れづらいけど、二転三転する展開と時系列、事件に関わった誰しもが信頼できない語り手なのでえ?え?となりながら喰らい付いていくジェットコースターのような映画だった。

特徴的なのは信頼できない語り手の証言を映像化していること。台詞だけでなく、あたかも実際に起こったことの回想シーンのように描かれるので、観ているこちらはそれが事実であったかのように刷り込まれていき見事にミスリードにハマってしまう。

そのうえ事実が次第に明らかになっていくにつれて、登場人物のほとんどが9年前の自動車事故について何かしらの後ろめたい事情を抱えていることがわかってくる。だからより一層誰の証言が事実なのかわからなくなってくる。


何故主人公のシャオチーが事件を追うのか。記者として真実を追いたいから?まぁ彼が事件追わなきゃ映画にならないしな…なんて思いながら観てたけど、最後の最後にズバーンと突き付けられる事実で納得。

"記者は歴史の記録係だ。記者は当事者ではない"

ラストのシャオチーの姿を観ると、恩師ともどもこの台詞がなんとも皮肉。

最後の最後に韓国ノワールにも引けを取らないショッキング描写があるのでグロが苦手な方はご注意を。
シャオチーが事の重大さを理解し、自分が背負った罪の重さを痛感し、受け入れて魂を売るに至る理由を説明するには充分過ぎるインパクト。

"世間はクソ狭い。全ての出来事は一周回って全てぼくに帰ってくる"


台湾映画というと『台北の朝、僕は恋をする』とか『ママは日本へ嫁に行っちゃダメというけれど』『海角七号』みたいな、ノスタルジー溢れる街並みを生かしたラブストーリーのイメージ強かったけど、こんな面白いサスペンスもあるんだ…。
保身に塗れた登場人物たちの不確かな証言からパズルのように事実が浮き彫りなっていく展開はかなり面白かった。

マギーを演じたティファニー・シュー、アイティンを演じたアリス・クーの女性陣2人がめちゃくちゃ美人なのも良き。

台湾サスペンス掘り下げようかな。
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