りく

ファイティング・ファミリーのりくのレビュー・感想・評価

4.5
WWEファンとしてずっと観たかった作品。いつまで経ってもWOWOWで放送されないからどうしようかと思ってたら、たまたまCSチャンネルで放送されてることに気づいた。鑑賞できて良かった。

本名サラヤ、WWEでのリングネームはペイジ。彼女自身とその家族みんなの、プロレスを軸とした愛の物語。ストーリーの大半は実話。

ペイジを演じたのはフローレンス・ピュー。いろんな役柄を演じている注目の女優さん。今作でも、実にペイジらしい雰囲気を再現していて、ペイジのファンとして大変嬉しかった。

ペイジのWWE衝撃デビューはリアルタイムで観ていた。WWE年間最大イベント「レッスルマニア」の翌日、サプライズが連続するので世界中のWWEファンが最も注目する日の「RAW(ロウ)」に初登場したペイジは、前日に王座を防衛したチャンピオンのAJリーからビンタを食らって挑発され、そのままタイトル戦に。

逆転勝利をおさめて、RAWデビュー戦にして女子王座を獲得するという偉業を達成してしまう。これは映画の中で描かれていたとおり。

ただ、ペイジの名誉のために書いておくと、映画の中ではリングに登場した後、マイクを持ったけど何も喋ることが出来ず黙り込んでしまう描写になっていた。しかし実際のペイジはペラペラ喋っていた。

観客も喋れないペイジにシラけて野次を飛ばすという描写だったが全然そんなことはない。相手のAJリーが当時悪役だったこともあり、ペイジには試合前から声援が飛んでいた。

そもそもペイジはRAWに昇格する前、NXT女子王座を1年近く保持していた。ファンが「こいつ誰?」と知らないどころか、若手の中で最も注目されていた女子選手であり、ファン待望のRAWデビューだった。

イギリス時代のことや、NXT時代のことはそれほど詳しく知らない。たぶん映画での描写ほど弱々しくはなかったはずなのだが、演出だろうし仕方ないか。

WWEのレスラー陣では、スーパースターの「ザ・ロック」ドウェイン・ジョンソンが本人役で登場。彼はこの映画のプロデューサーも兼ねている。

他に「ザ・ミズ」「ザ・ビッグショー」「シェイマス」が本人役でカメオ出演。ジョン・シナも映像のみで登場した。ペイジとAJリーの試合で実況&解説していたマイケル・コールとジェリー・ローラーの声も本物。

また、AJリーを演じていたのはWWEのレスラーでもあるゼリーナ・ベガ。AJリーのフィニッシュ技であるブラック・ウィドウ(旋回式卍固め)を始め、とても見事にAJのムーブを再現していて素晴らしかった。

WWEを好きな人はおもいっきり楽しめるし、WWEを知らない人でもきっと楽しめる作品になっているはず。ヒューマンドラマとしても秀逸だった。

エンドロールではペイジ本人や、兄のザック、そしてイカれた両親たち本人の映像が流れる。空港での(本物の)別れのシーンには泣いてしまった。

最後に余談。多くのファンに愛されていたペイジは首を負傷し、重症だったことから団体側ドクターの復帰許可を得ることが出来ず、2018年4月に現役引退。その後もGM役やマネージャー役として度々WWEに登場していたものの、現役復帰は許されず、2022年7月に惜しまれながらWWEを退団。

しかし2022年9月、本名の「サラヤ」としてライバル団体の「AEW」に電撃移籍。WWEでは叶わなかった現役復帰を果たしている。
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