りく

ザ・ビートルズ:Get Backのりくのレビュー・感想・評価

ザ・ビートルズ:Get Back(2021年製作の映画)
5.0
1969年に撮影されたドキュメンタリー映像。

その存在はファンならみんな知っていたけれど、VHSもDVDもBlu-rayも正式なリリースはなく、1970年に公開された映画『レット・イット・ビー』をリアルタイムで観た人か、違法な海賊版を観た人しか実際の内容は把握できなかった。

ピーター・ジャクソンのおかげで劇場公開から50年以上が経過した2021年に今作の映像配信が開始され、その後にBlu-rayとDVDが発売された。やっと観ることができて感無量。

ビートルズをそれほど知らない人が今作を観ても、たぶん全く面白くないと思う。

あとファンじゃない人が今作を観たら、おそらく「若い頃のオノ・ヨーコは狂ってたのね」と思うはず。あの金切り声の絶叫は確かに常軌を逸している。

この撮影期間の1年後にビートルズは解散してしまうのだけど、全然そんな風には見えない。ジョン・レノンとポール・マッカートニーは思った以上にコミュニケーションが取れていたし、ギスギス感もほとんどない。もちろんピーター・ジャクソンの編集によるところもあるんだろうけど。

結果的にビートルズ解散の最大の要因となるアラン・クラインについてジョンが大絶賛する下りは興味深い。ジョンの「人を見る目の無さ」が炸裂するシーンであり、ジョン自身も後年それを認めている。

伝説のルーフトップ・コンサートは大げさでも比喩でもなく涙が出た。この映像をすべて観られる日が来るなんて。何十年も待たされたが本当に良かった。

最後、ライブを中止させるため警察官がビル屋上にやって来たのに気付いたときの、ポールの「ニヤリ」とジョンのハシャギ方には爆笑した。

ポールはその時のことについて「警察に逮捕され、手錠をかけられて連行されるなんて、映画のラストシーンとしては最高じゃないか」と後に語っている。

その話がウソでもハッタリでもないことは映像でのポールのニヤリを見れば分かる。
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