ぽち

日日是好日のぽちのレビュー・感想・評価

日日是好日(2018年製作の映画)
3.6
エッセイのおいしい所を拾い出し、無理やりストーリーを付けた物なのであまり期待はしていなかったのだが、見事に映画化していて心に沁みる一作となっている。

静かな描写も内容によく合っていて良い演出だし、主役の黒木は大学生の10代から45歳までを無理なく演じていて良かった。

しかし、今作での見所は何といっても樹木希林の驚異的な演技だろう。

「万引き家族」でもそうだったのだが、この人が画面に現れたとたんにリアリティがいきなり増すってのが凄い。

邦画はほとんどがそうなのだが、オーバーアクトがお約束で、それを承知の上で脳内変換してみるのだが、樹木希林の「演技をしない演技」とでもいう自然さは目を見張るものがある。

教室でのぶつぶつ言う指導の仕方から、生徒との会話。全部が自然。

そして今作最高の場面が父が亡くなり泣き出す典子との縁側でのシークエンス。「見せ場」と言える所で、まったく見得を切ることが無いあの演技。

普通の役者なら思いっきりオーバーアクトでお涙頂戴に誘う所を、あの流し方だ。見事としか言いようがない。

映画内容はちょっと「東洋の神秘」的な所を強調し過ぎている感はあるが、十分楽しめる内容。

樹木希林の名演に酔って、多部未華子の美しさを楽しむだけでも見る価値があるだろう。



余談。
茶道の事は全く知らないのですんなり見ることが出来たのだが、これ、それなりの方が見たらかなりツッコミどころが多いんだろうな~。笑

知らぬが仏とでも言うか、知らないほうが幸せなことはあるってことだな。
ぽち

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