風来坊

ホワイト・ボーイ・リックの風来坊のレビュー・感想・評価

ホワイト・ボーイ・リック(2018年製作の映画)
3.0
黒人ギャングの中で白人でありながら頭角を現し、"ホワイト・ボーイ・リック"と呼ばれた実在のギャングの男の姿を描いた実録クライムサスペンス。

少年がすんなり犯罪の道に入れるような家庭環境と治安の悪さに驚きを隠せない…。黒人社会への憧れなどの自分の意思でそういう道を選んだ本人にももちろん非はありますけど。親父はどうしようもなくダメダメだし同情は少しは出来ますね。

ギャングも大概ですが命の危険があるおとり捜査に、少年を利用する警察やFBIや司法も地に堕ちてる…。そういう時代だったのかも知れませんが…。
黒人と白人という歴史的な壁があるなかで、スッとその中に入って行く主人公の怖いもの知らずというかその度胸はスゴいと思います。

実在の人物に配慮してなのか主人公がこういう悪事をしてこんな事をしてというのが少ないため"ホワイト・ボーイ・リック"と呼ばれる程になったようなカリスマ性を感じない。物語の中心にいるという感じも少なく、主役というより登場人物の1人という風に見えてしまう。

実録だから難しいのかも知れませんが、もう少し映画的にバイオレンスシーンとかで盛って脚色しても良かったのかなと思うところ。
脚本の物足りなさをキャストがカバーしています。特に良いところも悪いところも沢山ありすぎるがタフな父親を熱演している、マシュー・マコノヒーさんのの演技は素晴らしい。

結局は1度悪の道に入り簡単に大金を稼げる事を知ってしまうと、簡単には抜け出せないという事を身をもって体現した教訓。
自業自得の部分はありますが17歳の少年の壮絶な人生とその家族の生きざまは、なかなか訴えかけて来る物があった映画でした。
風来坊

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