チピロ

工作 黒金星と呼ばれた男のチピロのレビュー・感想・評価

工作 黒金星と呼ばれた男(2018年製作の映画)
4.2
南北問題を扱った作品の中では一番好きかもしれない。
高校の授業で初めてマルクスを知ったとき、純粋に素晴らしい思想だなと感じたことを思い出す。資本主義であれ社会・共産主義であれ独裁政権と結びつくことが諸悪の根源なのだと知ったとき、確かに私の世界は広がった。
いま、K-POPを始め韓国カルチャーにのめり込むほどに、私にとっての祖国「日本」という国家が仕出かした仕打ちに胸が痛む。国家への帰属意識は低い人間だと自負していたが、歴史を知る度に罪悪感に苛まれる。そういう意味では、私は日本人としてのアイデンティティを確かに持っていると言えるのかもしれない。
心を通わせた二人の男が、なぜそもそも分断されなければいけなかったのか?互いに敵として存在し続ければならないのか?帝国主義の暴力性は後遺症として未だ彼の国を苦しめていて、私たちはそこから目を背け続けている。もっと学ばなければ、もっと歴史の延長に生きなければ、と強く思わせてくれた濃厚な作品だった。
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