なち

千と千尋の神隠しのなちのレビュー・感想・評価

千と千尋の神隠し(2001年製作の映画)
5.0
何度も見ているが、見るたびに新しい発見がある素敵な作品。

あのトンネルは本当に存在していたのか。
なぜ千尋たち一家が吸い寄せられるように入り込んでしまったのか。
両親が神様たちに供える食べ物を無断で食べなければそのまま何もなく帰ることができたのか。
未だに謎は多いが見るたびに1つずつ解決しているような気がする(気がする)

なんといっても子供ながらに学ぶことが非常に多かった記憶がある。そして大人になってから見ても新たに学ぶことがたくさんある。
優しさは時に仇となってしまうこと。
(社会人なら当たり前のことだが)自分の受け持った仕事や任務は責任を持って最後までやり通すこと。
人の意見を聞くことは大事だが、その意見や誘惑に惑わされてはいけないこと。
まだまだ書ききれないほどあるので割愛。

まあしかし
・老婆が仕切るお湯屋
・(汚い)客でも接客する女性
あたり、以前風俗で働いていた身としてはどうしてもそういう目線で見てしまうところはある。お湯屋で働く女性はみんなしっかりお化粧をして客人をもてなす。やはりそういう背景があるのだろうか。

にしても親の罪を子供が背負わなければならないのはかなりシビアな世界ではあるよね。これに関しては賛否ありそうだけど、やはり残されたものにはそれなりの責任が課せられてしまうものだと思う。
さすがに小学5年生の女の子に課すには重すぎるのではと思いますがね…

個人的に印象的なのは千尋の母ですね。これは設定を知ってなるほどと思ったのでご存じない方はぜひググってみてください。
“母親”になりきれない母。千尋のことを子供としてではなく“一同性”と見ていて素っ気なく少し冷たく接しているが、旦那からは母親ではなく“女性”として見られたいというなんとも現代らしい設定。バブル期を経験した両親の甘い考え方も非常にわかりやすくて良い。
その対比としての湯婆婆の存在は大きい。
湯婆婆は高齢だが坊という子供がいて、なんとも過干渉・過保護である。千尋の母と湯婆婆が良い塩梅の対比となっていて、かつわかりやすい構図で素敵。
湯婆婆様、さらに経営者としては
・働きたい者には仕事を与える
・結果を出した者に対してしっかり評価する
・寮完備(飯付き)
とまあ完全に悪い人とは思えないところがまたキャラクターとして良い。

以下、諸説ありそうですが
「坊を取り戻したらお前はどうするんだい、八つ裂きにされてもいいんかい」という湯婆婆に対して了承したから千尋を迎えに行ったのかなと思ってます。
それを踏まえた上でラストの振り返っちゃいけないよのシーン見ると泣いちゃうね。でも「きっと」また会えるということは、生まれ変わって会えるよということなんですかね。
おばちゃん大号泣ですわ。


「一度会ったことは忘れないものさ、
       思い出せないだけで。」






2024年最初の金ロー見たので追記↓

お腐れ神様?(名前合ってるか不安)のところ、うまく対応した千を湯婆婆が抱きしめて褒めるところ、隣のリンが「え?オレは?チームプレーじゃん?え?なんだよ千だけかよ〜」みたいなヤレヤレ顔とても好みでした。
ちなみにお腐れ神様がなぜあの姿だったのか、なぜあんなに自転車や家電を溜め込んだ泥だったのかと。結局名のある川の主だった、というので(ああ、人間が川にいろんなものを捨てた結果なのか)とやっと気づきました。今で全く気にしていなかった。
悪臭で白米が腐るシーンはいつ見ても好きです、リンのセリフ含め。


釜爺と千尋が初めて会ったところもよきね。千尋の存在がリンにバレたとき「ワシの孫じゃ」とバレバレの嘘でフォローしてくれたところ、もしかしたら釜爺にも前世か何かで孫や子供がいたのかもしれないね。
じゃないとそんな言葉出てこない気がしてならないけど、これはただの深読みなので勝手に想像して楽しんでました。
なち

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