ぴろ

千と千尋の神隠しのぴろのレビュー・感想・評価

千と千尋の神隠し(2001年製作の映画)
4.2
千と千尋の神隠しとあんまり関係ないただの独り言


"世が明ける頃に
龍の背に飛び乗ろう
抱きしめてくれ
君を振り落とさないように
強く痛いほどに
tandem runaways"

 なんかちょっと千と千尋っぽい。
 キリンジの『タンデム・ラナウェイ』の一節。勝手な解釈だけど、この歌で歌われているのは、訳あり男女の人生逃避行。人生から逃げようと旅するんだけど、人生というのは自分の歩む道であるからして、逃げても逃げてもそのルートが自分の人生になって、結局逃れられない。後戻りすることも出来ない。旅を終わらせることも。
 「僕の前に道はない、僕の後ろに道はできる」の真理に後ろ向きな感情を抱きつつも、まぁ君と一緒ならそれでもいっか、何処に辿り着くのかも分からないけれど、みたいな、なんかそんな感じの曲。
 何か共感してしまう。僕もそう。根本の人間性が暗いけど、ただ後ろ向きなだけじゃない感じ。表面ではそれなりに真っ当な人生送ってても、どこか満たされなくて逃げたくもなる。でもしばらくするとまた頑張るんだわ。楽しいことや嬉しいこともあるし、そばに居てくれる人もいるから。

 申し訳程度に千と千尋について。
 この映画はジブリの中でも1番大好きで、もう何回観たか分からない。昔は中盤までのドタバタが面白かった。でも歳をとるにつれて、終盤のあの電車のシーンばかりが心に残るようになった。淡く暮れゆく空と、水平線まで続く静かな海。行きだけの電車とは人生のこと。バックで流れる「6番目の駅」は、この世の無常さを表現しているかのよう。
 でも結局、あのシーン自体に何の意味があるのかは未だによく分からない。
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