Hiro

千と千尋の神隠しのHiroのレビュー・感想・評価

千と千尋の神隠し(2001年製作の映画)
5.0
「千と千尋の神隠し」
ずっと大好きでいられる作品があるっていうことは、ある種の救いでもある。

小さな頃から、それこそ千尋よりずっと小さい頃から見続けて、台詞だって展開だって、どうなるか全部分かってるし覚えてるのに、何回観たってその度に新しい気持ちが生まれるのと同時に、いつでも幼い頃の自分に戻れる気がする。拠り所って、映画でもいいんだな。

2時間しかない映画なのに、凄い満足感。物語の密度が違う。でも、展開が早すぎるとかそういうわけではなく、もうこれは本当に宮崎駿が凄すぎるとしか言えない。だって、千尋が実際に湯屋に居たのだって、多分一週間ぐらいの事なんだと思うんだけど、いい意味でそうとは思えないくらいの時間の流れ方なんだよな。

大人になってから見ると、千尋の成長っぷりが凄い。最初は何をするにも、親の顔色を窺って「自分」が無かったんだろうけど、最後の方は挨拶もできるし、自分で進んでいく強さがある。人ってやっぱり環境で如何様にも変わるよなぁとそんなことを思ったりもしました。

そしてやっぱり久石譲も紛れもなく天才だと思う。何回聞いてもメロディが素晴らしすぎるし、あのメロディだけで涙が出そうになる。郷愁と、愛おしさと、温もりを同時に感じさせられるのは本当に凄い。

何より一番好きなのは、千尋とハクの関係性に名前が付けられていないこと。銭婆は「ボーイフレンド」って呼んでいたけど、今見るとそうでもない。名前の付けられない関係性があったっていいよな。

作品の意味とか、シーンに込められた意味を考察するのもそれはそれで楽しいけれど、この作品に関して言えば私は何も考えずただ物語世界に浸っていられるのが1番の魅力かなぁと。千尋と一緒にトンネルの向こうの世界に迷い込んで行ける。

かまいたちのコントじゃないけど、この映画をまだ観たことが無い人が正直羨ましい。初めて観た時の衝撃をもう一回味わいたいくらい。それくらい大好きな作品。
Hiro

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