映画館で鑑賞。
出演者の凄まじい演技と息づかいが静かな演出の中で躍動する。万引きなどの日常にありふれた犯罪は別に社会から隔絶されている人たちによってではなく、ありふれた日常をその他大勢の人たちと共有しながら生きる社会の内部の人たちによって起こされるのだと感じられる。描かれる出来事がまるで自分のすぐ近くで起きていのではないかと思わせるようなリアリズムの魔力が是枝監督の作品にはあるのだろう。作中に登場する街並みや群衆の平凡さがその魔力を生むのではないだろうか。是枝監督は過去の作品から一貫して同じ「不完全に大人びた、」独特の子供像を描いているが、それがまた監督の子供像がずっと更新されていないのではないかと思わせる節もある。特に子役の髪型や顔の形などを見てそのように思う。
