私の大好きダンサードキュメンタリー。全盛期のチャナの圧倒的パフォーマンスに目を奪われ、可愛らしく歳を取っても心に燃え続けるフラメンコの鮮やかな炎に見惚れる。立って踊れなくなっても、足が動く限りはこの靴を鳴らし続ける。観終えた今なお耳に響く、彼女の靴音、彼女の魂。
チャナの全盛期時代の映像や写真が見せる、彼女の闘志と覚悟あふれる表情はただただ美しい。髪を振り乱し、顔に汗をびっしり浮かべてそれでも足はもっと速く、速く、速くと叫ぶ。床を踏み鳴らす靴音の美しさ、彼女の完璧なコンパス。生まれるときにこのコンパスを持たされた、人生をただ踊るために。
歳をとった彼女は毎日お化粧を欠かさずいつも可愛らしくて笑顔に溢れ、家族や友人とのひと時を大切にする。けれど椅子に座って踏み鳴らされる「ラ・カンパネラ」や最後のステージには現役時代と変わらぬ炎が燃えている。家族がどれだけ引きとめても、きっと彼女は、最後には舞台へ還る人なのだろう。
