SaoriMoriguchi

ラジオ・コバニのSaoriMoriguchiのレビュー・感想・評価

ラジオ・コバニ(2016年製作の映画)
5.0
ラジオ・コバニ
平和だった町が突然ISに占拠され、戦闘や空爆で町が、人々が、建物が、全てが灰のようになった町コバニ。 
その町で、コバニの人々のために、ラジオを伝え続ける女性ふたり。

色鮮やかなコバニの町と彼女が描かれた本映画パンフレットとは裏腹に、その内容はかなりヘビーなものである。ISとの前線での戦闘、数々の死体、それも切断された脚や下半身だけ、頭だけ、そういうのをスコップでがれきから掘り起こし、ショベルカーに投げ入れる。幼い子供たちの目の前で。どのように映っているのだろう。見てるだけじゃない。匂い、感覚、全てが体にまといつく悪夢だ。 
簡単に命がなくなるということがこれを見れば分かる。人間の体は脆い。この現実が非現実的すぎて、命が軽く見える。家族が貧しいから戦闘に参加した、人を殺した、この街の人達は不信心だと聞いた、だから殺した…
戦争には勝ち負けはない。

コバニの町は活気を取り戻しはじめ、街に色が戻った。パンを焼く匂いや、眼と眼を合わせ心を通わせる人々の愛が、もどり始める。
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