そんなうまいタイミングで死ぬかよといった小説的展開をそのままやってしまっているところには違和感を覚えつつも、丁寧な演出とグレン・クローズの抑制的な演技には魅了される一作。
明かされてはいけないことが表沙汰にされるのではないかという不安感が終始漂っていて、この居心地の悪さを持続させ続けられているのが凄い。これは監督の安定的な演出の賜物だと思うし、演者の演技がそこに上手くハマっているから。出会うべくしてよくぞ出会ってくれたという感じ。
ジョナサン・プライスの最低野郎ぶりもさすがだけど、抑え込み…抑え込み…抑え込んだ上でタイミングよく爆発させるグレン・クローズの演技は圧巻。抑制的でありながら目線や表情のちょっとした歪みで観客に全てを悟らせるという高次元の演技は、芝居を超越してもう役柄そのままの人物と化していた。グレン・クローズ大先生、お見事です。