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ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3のohassyのレビュー・感想・評価

5.0
断っておくが(僕が断る必要もないけれど)、本作は正直一見さんお断り映画である。

というか、ここから入ってしまいそうな人をもし見かけたら、「あ、ここじゃなくてあっちの入り口(1作目)から入った方が絶対にいいですよ?」と声をかけたいし、声をかけるだけじゃなく正しい入り口まで案内してもいいし、なんなら一緒に1作目から辿ってもいい。
感想を言い合ったりしてとても楽しい道中になりそうだし、きっと仲良くなれる。
「ガーディアンズが大好きな人たちの心をいかに揺さぶるか」をとことん突き詰めた映画。
初めて観る人、特に好きじゃない人にとっては、矢継ぎ早のエモーションがちょっとうるさいかもしれない。
ぜひ好きになってから観ていただきたい。

僕の中では多分今世界一好きなキャラクターたちで、中でも特にロケット(アライグマ)が最初から大好きなので、僕はもう出だしのRadioheadのCreepからちょっと泣けてきてしまった。
いつも粗雑で乱暴で利己的な素振りを続け寂しさや弱さを一切見せようとしないロケットは、弱さを曝け出せないほど臆病で弱いヤツで、簡単には他人に心を許さない。
誰より真面目で、仲間思いで、仲間を家族と言い切る(エンドゲーム参照)。
本当にいいヤツなんだ。

そんな彼が、Creepを聴きながらガーディアンズの新しい拠点「ノーウェア」を歩く。
「アライグマ」や「ネズミやろう」と言われ続け、その度に激怒してきた彼の、心の声が響くようだ。
1作目、2作目と、最高のタイトルシークエンスでピークを持ってくる演出に惚れ惚れしていたけれど、本作のなんとも切ないタイトルシークエンスからは、これまでのノリとは異なる締めくくりへの強い意志を感じる。

その後もこれでもかと畳み掛けるロケットの描写に一喜一憂する僕の感情は、揺さぶられすぎておかしくなる寸前だった。

ガーディアンズの面々は、ストーリーの中だけでなく、マーベルヒーローの中でも人気の無い連中を集めて売り出した、メタ的にもドロップアウトしたはみ出しものの集まりであり、成り立ち自体が「多様性」の権化。
だからどんな奇抜なストーリー展開だろうが、あり得ないキャラクターだろうが受け入れてしまえる懐の深さがあるのだけれど、本作ではとうとう爆発したと言っていいだろう。
あらゆる生き物の姿かたちも能力も個性も、もう、すべてを肯定しちゃってる。

素晴らしいヴィラ価値観に縛られ
た完璧主義者、ハイ・エヴォリューショナリーに対して、超個性で挑むガーディアンズたち。
いわば社会と個人の対決とも取れる巧妙に設計されたストーリーの中で、キャラクターたちがひとりひとり肯定され、受け入れられていく。
とりわけドラックスの収まり方は神懸かっていると言っていい。
あんな価値観の転換があるなんて、すごい!

本当はキャラクターひとりひとりじっくり語りたい。
が、やっぱりいちばんはジェームス・ガン監督だろう。
下品やナンセンスと感動のバランス、デザイン、設計の鋭さ、どれをとっても超一流。
さらには映画や世の中に対する愛と懐の深さが相まって、当代随一のクリエーターの1人と言っていい。
DCの最高責任者になったことでガーディアンズは最後を迎えてしまったけれど、これからの活躍も心待ちにしたい。

やっぱりキャラクターを1人だけ。
ネビュラは本当に良かった。
強さ的にもガーディアンズの中心になり、相変わらずなサディスティックな面もありながら、誰よりも仲間たちを家族として大切に感じている面が非常に強くなり、心がちゃんと育っているところが垣間見れてうれしかったで。
無線越しにロケットの声を聞いた時のリアクションは、サノス後の世界に残され手を取り合ってきた2人の間にあるはずの絆を思うと本当に泣かされた。

待って、コスモとグラグリンも良かったな…

もちろんこれは、サントラを聴きながら書いている。
Creepで切なく始まるけれど、ラストを飾るのはあの曲!
継承される魂。

キリがない。

うまくまとまらないけれど、それこそがガーディアンズのソウル。
うまくまとまらない方が良いことだってきっとある。
50を迎えてそろそろかなと思っていたけれど、これからも年老いたはみ出し者としてダサく生きるのも悪くないかも。
どこかにステッカー貼ろうっと。

没入しすぎて細かいところが全く思い出せないので、なるべく急いでリピートします。
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