りっく

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3のりっくのレビュー・感想・評価

4.5
3部作が完結して改めて思うのは、本作はMCUの中で最高のシリーズだったという感慨だ。フザけたノリで進むからこそ、説教臭さや価値観を押し付けるような、メッセージ性が強すぎて辟易するような、そんな事態を軽やかに回避し、より観るものの心に染み入るような、愛嬌と哀愁が漂う。

完璧さとはいいことなのか。欠点を埋めたり矯正したりすることで、本当にいい人間、ひいては良い社会や世界になるのだろうか。こうでないといけない、こうあるべきだと理想を掲げ、それを押し付けていくようなことで、皆が幸せになるのだろうか。

その問いをガーディアンズたちが自らの存在をもって答えてみせる。生きとし生けるもの全てに命や価値があり、そこに優越は存在しない。それを欠点だらけの人間や動物の寄せ集めであるチームが身をもって体現・証明してみせるからこそ、圧倒的な説得力と感動の波が押し寄せる。

来るものを拒まず、去るものも拒まない。他人がどう言おうと、世間がレッテルを貼ろうとも、ありのままの自分を受け入れてくれ、相手の痛みを理解し、気持ちを尊重するような関係性は見ていて本当に心地よい。これこそが本当の仲間であり、友だちであるという至極単純明快なことを、本作は教えてくれる。
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