もりあいゆうや

馬の骨のもりあいゆうやのレビュー・感想・評価

馬の骨(2018年製作の映画)
2.5
“イカ天”って知ってるかい⁉︎

平成のはじまりと共に日本の音楽シーンに一大ムーブメントを巻き起こした「三宅裕司のいかすバンド天国」、通称「イカ天」。
たまとかBLANKEY JET CITYとかカブキロックスとかBEGINとか、あと大島渚とかを輩出したおばけ番組で、
昭和の終わりかけの時に産まれた自分は、イカ天ブームの時にはまだ幼稚園にも入る前だったので、この熱量を知らず、ただ小島藤子初主演映画ということで注目していた。

内容はイカ天で一旗あげた、いや、あげたかったけどあげきれなかった「馬の骨」というバンドのメンバーである熊田(桐生コウジ)の30年後を描く。
過去の栄光にすがりプライドを捨てきれない男が、シェアハウスに移り住み、そこで出会った人々との交流を経てどう変わっていくか、というストーリー。
監督・脚本・主演は桐生コウジで、フィクションだけど、設定などで重なる部分は多い。そこがまた哀愁を感じるポイントでもある。

今はなくなってしまった新宿JAMという老舗のライブハウスの姿も納まっている。
ここも色々な人の思い出が詰まった伝説的なライブハウスらしい。

他にもイカ天出身者がちらほら出ていて、当時、青春時代を過ごした人々にとっては感慨深い作品になんだろうなと思う。
平成のはじまりに起きたブームから30年経って、平成も終わり、ライブハウスも閉鎖して、結果的に色々なものに蓋をするような、そんな運命を背負っている映画になっている。
といっても、若い世代のことも漏れずに描かれていて、ただのおじさん達の青春懐古ナルシシズム映画ではないのでご安心を。

独特な存在感を放つ小島藤子は、もっとたくさんスクリーンで観たいなぁ。

それにしても、『馬の骨』というバンド名兼タイトルは、スルメのように考えれば考えるほど良い名前だなぁと思う。