ぽーちゃん

シネマ歌舞伎 沓手鳥孤城落月のぽーちゃんのレビュー・感想・評価

4.6
玉三郎さんのシネマ歌舞伎はいつも本編の歌舞伎上映前に解説が入る。
いつもながら、シネマ歌舞伎を通じて歌舞伎を観せたい(魅せたい)という玉三郎さんの意気込みを感じる。

玉三郎さんの“怒り”は、猿之助さんのそれとは違い“凄み”よりも“哀しみ”を感じさせるものが多いのだけれど、本作の淀殿の“怒りからの狂気”もまた、凄みの感じられる錯乱からやがて七之助さんを巻き込んでしみじみとした哀しみに染め上がっていく、、、、、、。
米吉さんのボンヤリとした表情ながら、しかし、己が命に執着する千姫の強かさが、淀殿と秀頼母子の哀れを際立たせる。

『楊貴妃』は夢枕漠さんの作品。染五郎さん(現幸四郎さん)が空海を演じられた『沙門空海唐の国にて鬼と宴す』も映画『空海-KU-KAI- 美しき王妃の謎』も確か夢枕漠さんだったな、、、、と思ったのだけれど、日本の演劇界での楊貴妃といえば夢枕漠さんの楊貴妃、なんだろうか????
コレは舞踊劇で、台詞には頼れないのだけれど、中車さんがよく頑張られていたなぁ、、、、という印象。勿論玉三郎さんの踊りには非の打ち所がないのだけれど、、、、。
楊貴妃といえば必ず出てくる“比翼の鳥”“連理の枝”も扇で美しく表現されてた。若い役者さんでは艶やかさはあっても、あのしみじみとした悲しい愛は難しいのだろうな、、、、と。
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