ブラウンソースハンバーグ師匠

クリシャのブラウンソースハンバーグ師匠のレビュー・感想・評価

クリシャ(2015年製作の映画)
-
監督自らが出演する場合、大抵がその映画における問題の内側、ないしは内側に寄り添う配役を演じそうなものだけど、この監督は外側の人間を演じている。(まあこの映画はクリシャ以外、全員外側みたいなものだ)
この映画は監督の家族との出来事をモデルにしているらしい。当時の監督は映画と同じような振る舞いをしたのだろうか。それをありのままで視聴者に見せるということが「クリシャ」に該当する人物への罪滅ぼしか、救済として作用しているのかは分からない。少なくとも自分はこの監督の、「なまもの」を取り扱う作家としての公平さを感じた。

アルコール依存で「なにか」をやらかしたらしいクリシャの苦悩といえばいいのか、それを映像表現の迫力で見せる凄まじさ。この映像であれば「死ぬこと以外かすり傷」な人々も黙らせることが出来そう。この監督の手に掛かれば、「いつもより5分寝過ごした」苦悩ですら、説得力を持って撮ってしまいそうだ。