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ヘレディタリー/継承のStroszekのネタバレレビュー・内容・結末

ヘレディタリー/継承(2018年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

孫娘チャーリーと孫息子ピーターの首をすげかえて、孫娘を地獄の王ペイモンとして蘇らせるという、祖母エレンの恐ろしい策略に従い物語が進む。

筋だけ見ると魔女コミュニティのお話であった『パラノーマル・アクティビティ』ユニバースのようだが、POVを多用したモキュメンタリー風のあちらとは違い、かなり作り込まれた劇映画である。

森の中の家がミニチュアのように撮られている。また、エレンの娘アニーもミニチュア作家である。映画全体が「作られた世界」という印象を強く与える。

カメラがスローに室内をパンする。妹を死なせてショック状態のピーターの目に涙が湧き上がる様子を微動だにせず真正面から映す。そういった静的な印象からじわじわと湧き上がる恐怖があり、堂々たるホラー映画である。

女性の首を刈り男性の身体に憑依するというお話で、肉体的犠牲と精神を乗っ取られることの恐怖、どちらも描いていると思った。男性が器にされることの恐ろしさばかりがクローズアップされているが。

なんというか、エレンは夫と息子の両方にペイモンを召喚しようとして失敗し、孫息子と孫娘に賭けたということだろうか。めちゃくちゃ迷惑な話である。アニーはどの段階でペイモンのカルトに入信したのかだが、夫が炎に包まれるのを見たときに憑依されたということだろう。あの瞬間のスッと何かが入ったようなトニ・コレットの表情の変化は凄かった。

本作がデビューとなるチャーリー役のミリー・シャピロ。映画を象徴するような繊細かつ骨太な存在感が唯一無二。
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