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神の日曜日のesewのレビュー・感想・評価

神の日曜日(2018年製作の映画)
2.5
2020.8/19

内容がアメリカ国内向け100%過ぎて日本人にはぜんぜんピンと来ない!

「同調圧力」が嫌われる日本だけど、はっきり言ってこの映画を見るとアメリカでは「神」が日本の「同調圧力」と同じ社会的な効果を発揮してる点で大して変わらないんじゃないかと思った。各個人が牽制&監視し合ってる分散構造で社会規範を作ってる日本か、神という擬人化された抽象概念を想定して人々の振る舞いを監視&誘導してるアメリカという。結局は自由奔放やりたい放題にはできませんっていうのは日本もアメリカも変わってない。まあ当たり前だけど。

「地獄」に行くのが嫌だからちゃんとした人生を送るみたいな考え方が描かれてて何度もセリフに出てくる、その直球さが新鮮だった。ハリウッド映画とかでは「天国」や「無償の愛」とかポジティブ面のキリスト教の宗教性しか描かれないから。

主人公が、キリスト教徒じゃなくても、悪い行いをしても、神は全人類を救うっていう考えを公言した後、白人が教会からサッと消えたのが笑えた。つまり、キリスト教徒である自分が異教徒に対して優越した特権的な地位を確保できないならそんな考えには乗らないよっていう宣言であって。君が私たちに都合の良い代弁者なら利用するけど、そうじゃないなら即捨てますみたいな描写で、そりゃ現代でBLM運動も起こりますねってなってしまう。この話は90年代から00年代の話なのである、意外と最近。

後半がしりすぼみで終わったのが、物語としては弱いなと。ただ提起してるテーマは骨太ですごく良かった。主人公がかなり最後まで同性愛を悪として捉えて同性愛者を神の名の元に矯正しようとしてるのが偽善的じゃないし、リアルから逃げない姿勢で好感。
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