このレビューはネタバレを含みます
あれはまだ自分が中学生の時、
可愛い子同士の仲良しグループがクラスにいた。
いわゆるスクールカーストでいう上の方だ。
そのグループの中にはちょっと気になる子がいたりして、いつも横目でチラチラ見ていた。
そんなある日、異変が起こった。
その仲良しグループから僕の気になっていた子がまるで炙り出されたかのように放り出されてしまい、そのままずっと輪に加われなくなった。
昨日まであんなに仲よさそうだったのに何があったのか?
それは鈍感な男子の目にもありありとわかるほどの”部族からの追い出し行為”だった。
たった数日で仲良し女子達の関係性がここまで一変してしまうことが、垢抜けない男子の目にはとても恐ろしいものに思えたものだ。
すでに20年以上は経っているこんなとうに忘れていた小さな記憶をなぜ思い出したかというと、すっかりおじさんになった自分が、本来なら観ることのないこの映画をひょんなきっかけで観たからだ。
- 輝くファッション
- 煌めくメイク
- 読者モデル(と大人達)
- タピオカドリンク(どこかナタデココブームを思い出させる)
ブームなんて終わる事がわかっているからこそ早く飲みきってしまえとばかりにモノと人が回転し続ける若者達の原宿がスクリーンに立ち上がる。
そうか同じ日本に住んでいてもこんなに景色が違ってみえるのか。
そんな当たり前の事を認識させられた。
映画について少し語ろう
- もっと自分を見て欲しい -
仲良しの女子二人組は"ヌヌ子"としてこの原宿という舞台を駆け上ろうと必死になる。この街で「ガール」として生き抜こうとする2人は、清々しいほどにこの想いの中心に向かって進んでいこうとする。
その中心に向かえば向かうほど色んな「圧」が2人にかかり、友情に隠されていた何を炙り出していく。二人は次第に関係にズレを生じさせていく。
大人になればやり過ごす事が可能な「ズレ」であっても、
ガール達にとってそれは初めて向き合う問題であり、時として激しく身を焦がすぐらいの衝突に発展してしまう。
この映画を前の方の席で真剣な眼差しで観ていた同年代のガール達にとってこの映画は当事者としてのリアルであり、痛みにも似た感覚として共感の域に達していたようにみえた。
おじさんでもとうに忘れていた昔の淡い記憶を思い出すぐらいなのだから。