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ストーンズ オレ!オレ!オレ! ア・トリップ・アクロス・ラテン・アメリカのKKMXのレビュー・感想・評価

3.7
 ストーンズの南米ツアー〜初めてのキューバでのフリーライブのドキュメンタリー。
 ライブ作品ではないし、ドキュメンタリーとしてもやや退屈でしたが、南米のファンの様子やキューバのフリーライブの熱気を感じることができたので、観応えはありました。


 全体的に南米は独裁政権が多かったようで、かつては国民が弾圧されたりロックが禁じられたりしていたそうです。そのような中でストーンズは自由や希望の象徴として密かに聴き継がれていたようです。
 ガチの共産主義国キューバではずっとロックは禁じられていて、聴いている人は逮捕されたそうです。そんな中でも人々はストーンズを隠れて聴き続けて、今回の初公演につながって行きました。「これからのキューバは自由だ!警察の前でストーンズを聴いてやるぜ!」と感極まって叫ぶファンの姿を見るとグッときます。
 意外にも、メキシコもロックが弾圧されていたようです。そんな中でもメキシコのロックファンは71年にロックフェスを開催しました。しかし、その後は85年までロックは禁じられていたとのこと。メキシコのロックファンは、ストーンズが来訪するなんて夢のようだ、と語っていました。

 そんなかつてロックが禁じられていた国でストーンズがブチかます “Street Fighting Man” や “It’s Only Rock’N’Roll” の説得力といったらないですね!特にクライマックスのキューバ公演の “Satisfaction” はめちゃくちゃヤバかったです。

 ドイツのメルケル首相は今回のコロナ問題にて、芸術家に給付金を支給することをすぐに決めました。メルケルはその時に「アーティストは必要不可欠なだけでなく、生命維持にも必要」と述べています。
 アートはメルケルの言う通りであるだけでなく、人類を進歩させていくためにも重要な役割を担っていると感じました。特にロックなどのレベルミュージックは、自由を求める人たちの心を鼓舞し、闘争を続けていくための希望になるのだな、と感じました。南米におけるストーンズの音楽は、自由に音楽を聴ける国にはない大きな意味があったのだろうな、と思いを馳せずにはいられませんでした。


 他には、ブラジルで行われたキースとミックによる “Honky Tonk Woman” のセッションが死ぬほどカッコ良かった!この曲、アコギの弾き語りの方がカッコ良いな。あとキースのコーラスが死ぬほどイイ!やはり “Memory Motel” もっとライブでやってくれないかなぁ。
 ストーンズは68年にブラジルを訪れ、その時に “Honky〜” を作ったそうです。また『悪魔を憐む歌』のリズムもブラジルでインスピレーションを受けたそうです。サンバですしね。
 あと、メキシコのマリアッチたちが “Happy” を演奏しているのがカッコ良かった。選曲がまたイカす!


 見所の多い作品でしたが、ドキュメンタリーなので曲は少なく、やや間延びする作りであったので、ストーンズ初心者はもっと別の作品を観た方が良さそう。
 しかし、キューバ公演は凄そうなので、その時のライブをパッケージした作品『ハバナ・ムーン』は観ないとな。

 メンバーのホテルの部屋の映像も映るのですが、キースのテーブルに “Mr. Wonderful” と書かれていたのには笑った。確かに!
 あと、チャーリーの部屋は品があって最高だった。ミックとロンは覚えていない。映ってないかも。
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