りっく

愛唄 ―約束のナクヒト―のりっくのレビュー・感想・評価

愛唄 ―約束のナクヒト―(2019年製作の映画)
1.5
ヒロインを演じた清原果耶が闘病中の役柄を熱演しているからこそ、同じく余命限られているはずの主人公演じる横浜流星の説得力がない。外見上もいたって健康に見え、普通に外出しているので、具合が悪くなって倒れるタイミングが物語上の都合のようにしか見えないのが致命的。

また二人で病室を抜け出して朝日を見に行き、彼女の両親から出禁を食らうにもかかわらず、病室に忍び込みまたしても外に連れ出し、大して絶景でもない場所で朝日を見て涙を流すくだりが本作の酷さを凝縮している。

その後彼女は一度も映らないので死んだということなのだろうが、まず直接的な死から目をそらすような姿勢がナンセンス。太く短く生きるという説得で承認してしまう親もよく分からないし、せめて親同伴で病院の屋上から朝日を見るならまだしも、外に連れ出して死なせたように見えなくもなく非常に不愉快。

余命いくばくもない状態で出会ったチャラ男に時限爆弾のようなアプリを起動させられ、出会った女性は実は元人気子役と、現役の詩人であるという非常に閉ざされた世界の中で完結する。その中で生み出される曲に、説得力などない。
りっく

りっく