EDDIE

バーニング 劇場版のEDDIEのレビュー・感想・評価

バーニング 劇場版(2018年製作の映画)
4.0
スルメのような映画。観た後に噛み締めれば噛み締めるほど旨味が出てくる話です。

「バーニング」というタイトル。村上春樹原作の短編小説「納屋を焼く」を題材にしており、私は原作未読です。
主人公の青年ジョンスは小説家を志しながらアルバイトに明け暮れる。そんな最中、幼い頃の同級生ヘミと再会します。
彼女との出会いがジョンスの人生を大きく変えていくことになります。
果たしてこのレビューでどこまでを語るべきか。云々考えている間に1週間が過ぎてしまいました。

この映画のもう1人のキーパーソンがベンという得体の知れない青年。何か含みを持たせた笑顔の奥には何かを企んでいるかのようで、ジョンスも心から信頼することができません。
3人で過ごすことも増え、とある日を境にヘミが失踪してしまいます。
「ビニールハウスを焼くことに夢中」とジョンスに語るベン。そんなベンを怪しみ、彼の動向に注目をし続けます。
だけど、近所のビニールハウスに焼かれた形跡はどこにもありません。果たしてこれは何なのか?そしてヘミはどこへ行ってしまったのか。

最終的に結論は語られることなく、意外な結末で幕を閉じることになるこの映画。

焼かれても警察に捕まることなんてない世の中に忘れ去られたビニールハウス。
ビニールハウスとはジョンスであり、ヘミであり、そしてベンである。そう考えないとすっきりしない。
きっとこの映画ではヘミにばかり注目が集まることでしょう。ヘミはどこに?ヘミの言ってた井戸は本当にあるの?ヘミはジョンスが好きだったの?
そんなヘミの気持ちもさることながら、きっと結末であんなことになったベンもビニールハウスだったのだろうなと。
これは想像の範疇になってくるのですが、きっと彼は裕福な家庭に生まれ育ち、何不自由なく生活してきたのではないでしょうか。しかし、彼の両親は多忙により子供に構う時間なんてなく、いつのまにかそんな両親は死を遂げたか、もしくは何らかの形で決別したのか、ベンは本来持ち得ていた資金力を武器に誰かに必要とされたいと人身売買を企てる。
しかし、親から愛情を得たことがないベンは人のことを信用することは一切なく、みんなが盛り上がっているときにあくびをしてしまう。そんな感覚で人に必要とされていない自分と同じような境遇の女性たちを「救っていく」ことを生きがいにしていく、とそんな感じではないのかなと。

もはやこれは僕の妄想ですが、この映画についてはベンについて考察するのが一番楽しかったです。きっと観る人によってそこの見方が変わってくるのではないでしょうか。
EDDIE

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