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レッド・ノーティスのStroszekのネタバレレビュー・内容・結末

レッド・ノーティス(2021年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

美術泥棒とFBIエージェントが組んで「クレオパトラの卵」という三つの秘宝を探し出すことに。ローマの美術館→バレンシアのマフィアの屋敷→アルゼンチンのナチの秘密基地と、卵の場所に従って主に三つのシークエンスがある。

一映画の中に「三つのミッション」という構成は同じNetflix映画の『アーミー・オブ・ジーヴズ』と似ているし、「簡単な任務だ」と言う際に登場人物が"easy-peasy"という言い回しを使うのは『アーミー〜』の後日譚である『アーミー・オブ・ザ・デッド』と同じである。

卵とドウェイン・ジョンソンの頭の形が似ていることは偶然ではないだろう。"Does the back of your head look like a huge penis? The answer is yes!"とライアン・レイノルズが頭の形を揶揄う台詞があることからも、ドウェイン・ジョンソンのいかつい見た目をギャグにして作劇に取り込んでいることが分かる。なんというか、自分がどういうネタになるか分かって観客に提示している、その際に真顔である、というのはコメディセンスのある俳優だな、と思った。レイノルズも前述の台詞やワイスピでジョンソンと共演するヴィン・ディーゼルへの言及など、割と自由にアドリブを発し、そのまま使われているのではないかというくらい、のびのび演じている。余談だが、ローマの美術館のシークエンスでライアン・レイノルズのスタントマンを務めた人物のスムースな軽業師的動きには、刮目すべきものがある。

レイノルズとジョンソンが同じく美術品泥棒のガル・ガドットに振り回されるのだが、戦闘でも男性二人を相手に競り負けないというのは、『ワンダーウーマン』のパブリックイメージがあるからこそできる役柄だろう。

配信映画らしく、展開や絵作りなど、すべて既視感に溢れている(特に『インディ・ジョーンズ』シリーズと『ミッション・インポッシブル』シリーズ)。

唯一真に迫っているのは、レイノルズ演じるノーラン・ブースが泥棒になったきっかけを問われたときに答えるエピソードである。警察官の父親から腕時計を盗んだと疑われ、1年間口をきいてもらえなかった、父親の勘違いであったことが判明しても、謝罪はなかった、大事なのは「他人の評価」だと学んだ、ということだが、ここでだけブースはこのような軽妙な映画には似つかわしくない深みを示している。

ブロマンスかと思いきや普通のヘテロ恋愛関係賛歌に落ち着いた。非常に保守的な結末である。
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