翠

RBG 最強の85才の翠のレビュー・感想・評価

RBG 最強の85才(2018年製作の映画)
4.6
大学3年次の留学先で初めてできた友達に誘われて、恥ずかしながら何の話だかも分からないまま、小さなシアターでひっそりと上映していた本作品を一緒に観に行った。

連邦最高裁判事を務めたRBGの生い立ちから現代(当時2018年)の彼女を行ったり来たりして話が進む。

彼女が女性だからという理由だけで平等な教育を受ける機会や就職の道が閉ざされていたことに静かな怒りをずっと抱えながらも、それを糧に全米の女性の基本的な人権と男女平等のために人生を賭けて抗い続けた彼女が最高にかっこよくて、誘ってくれた友達に感謝の念を伝えまくった。
過激な言葉や言動で理解を押し付けるのではなく、粛々と闘う姿は追いたい背中であり、目標になった。

日本とアメリカの二重国籍を保持している身としては全く人ごとではないんだと痛感したし、Roe v. Wade を筆頭にまた議論がされ始めている「Bodily autonomy = 自分のからだの決定権」を連邦最高裁判所という場で議論してくれたからこそ、「女性を踏み付ける足」がほんの僅かだけどどけられて色々な歯車が動き出した。

「女性を特別扱いしろ」という風に日本では捉えられがちなフェミニズムだが、それが前提から間違っていることを教えてくれる。

彼女が亡くなって連邦最高裁のバランスがかなり偏っていることへの不安は拭えないが、RBGが開いてきた道は絶対に何者にも閉ざさせてはいけない。
これからは私たちが頑張る番。
あなたのおかげで私たちは大丈夫です、と伝えたい。

どうか安らかに。
翠