クリストフォルー

飛べない鳥と優しいキツネのクリストフォルーのレビュー・感想・評価

飛べない鳥と優しいキツネ(2018年製作の映画)
4.5
ユン・ガウン監督作の「わたしたち(2015)」を観たときには、こういった題材を自然な描写で描き出す試み(数次のオーディション、ワークショップ方式のリハーサル。台本なしの即興的演技を2台のカメラで撮る等。いわば是枝裕和的アプローチ)が、観る者を作品に惹き込むことを再認識させられたが、まさか、それを上回る創り込み方があったとは!正直、驚天動地な気分だ。
もちろん、小学生から中学生に年代が上がるのだから、フィクションを織り込んだ、より説得力のある描写が可能だし、必要でもある。原作はウェブ漫画らしいが、文才はあっても現実世界では存在感ゼロの少女という、よくあるタイプのヒロインに、オンラインゲームやイジメ、DVなど、イマドキな事象を絡めるだけでなく、その先に、痛みの共有や、一歩を踏み出すことの大切さを、じっくりと煮出すように描いて、希望の着地点を見出したイ・ギョンソブ監督(脚本も)はスゴイ。エンディングの場面が暗くなった後のセリフに号泣してしまった。
「ワンドゥギ」や「優しい嘘」「未成年」と、こういう分野の韓国映画は、ホントに侮れない。キム・ファニ(ヒロイン役)やギョンソブ監督の更なる活躍に期待してます。間違っても早送りでなど観ないように!
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