このレビューはネタバレを含みます
主人公は決して観客の視点や代弁者ではなく、カメラは主人公との間に(心理的な)距離があり、現象的にしか理解できないように演出されている。
(奇跡と現実の境界が主人公にしか分からない)
白百合(無垢の象徴)と青い花のシーンが良かった。
「何も無いのに一緒に見えてるフリをしたのは楽しかった」このセリフには少年が信仰の(ポジティブな)本質に一瞬触れた実感であるのと同時に、信仰を徹底的に冷笑して切り捨てたセリフでもあるように感じた。この矛盾が少年が感じた等身大の、信仰と呼ばれるもの(そしてその中で生きる人々)の全てだったのではないかと思う。
ラストに少年は障子の穴から「最良の日」を見る。その景色には奇跡も祈りもない。
カメラ(カットの美しさ)が大いに物を言う作品だが、監督がその撮影まで担当しているのが凄い。
面白かった。