寿マーガリン

アルキメデスの大戦の寿マーガリンのレビュー・感想・評価

アルキメデスの大戦(2019年製作の映画)
5.0
数式を、教えてくれるかい?


戦争は、We Are Right(私達が正しい)とみんながそれぞれ思ってるから、頭文字を取ってWARって書くんだよ、って話をなんかで読んだことがある。
本当にその通りで、本作も
沢山の人間の、沢山の正義が出てくる戦争の話だ。

勝つ事こそ正義、儲かる事が正義、守る事が正義、生き残る事が正義。どれも正義で、決して間違ってなどいない。

人間の頭の中で考えられるすべてのことが、一つの軍議室でぶつかり合う。偏屈な男の正義感に火をつける言葉の一つ一つも、数字によって戦争を止めようとした主人公の熱い想いも、たった20日間でどんどん答えに近づいていく爽快感も、丁寧に上手く詰め込まれていて、戦争映画に興味がない人でものめりんで見てしまう圧巻の2時間、最近見た日本映画の中で群を抜いて1番面白かった。

「大和」の名前の意味を知った時、鳥肌が立った。どんな思いで設計したのかと思うと胸が張り裂けそうになる。設計者としての責任感に時代を感じた。
誰でもクリエイターとか気軽に名乗れる今のご時世とは、全く別次元のクリエイティブ。強い。つよみがすぎる。
今の時代に戦艦を設計するなら、MacBookを持ってシェアオフィスに集ってしまうのだろうか。そこはせめて国産の富士通とかになるのだろうか。どのPCを使うのであれ、戦争はしたくないよな、虚しいよな。
戦争しないためにも、【何が正しいことなのか】は、どんな時代であっても考え続けるべきなんだとは思う。

ラストの「数式を、教えてくれないか?」のシーン、ゾワっとした。あぁ、人間ってすごいな、正義のために自分の能力をあそこまで使い切れるって、結果がどうであれ素晴らしいことだなって漠然と思ってしまった。未来を思い描ける人間は、それだけでどこまでも強い。


全然話それるんですが、わたし最近とっても落ち込んでいて、何も手につかないな〜って思ってたんですけど、アルキメデスの大戦のおかげで「櫂は20日間であんなに物事を進められたというのに、私は一体…何をしてたっていうんだ!!落ち込んでしょぼくれてたダケじゃねぇか!!悔しい!このままではあかん!!優先順位ガンガンつけて前へ進め!!」と思わせてくれた。
映画の持つパワーってすごいね。


何が正しいか、何を正解とするのか、無限に決められる自分の人生で、私は私の思う「正しいこと」をどこまでも貫いていきたい。