しげのかいり

スネーク・アイズのしげのかいりのレビュー・感想・評価

スネーク・アイズ(1998年製作の映画)
4.7
デ・パルマなのに普通にうまいってどういうことなのか。私の感性がおかしいのか。今作は柳下毅一郎が言うところの「悔悟」ものサスペンスで、サスペンスが成就ではなく失敗と幻滅に終わり、無限に見えない不安だけが残る典型的なデ・パルマの作品。だが他方でめちゃくちゃ晴れやかな部分があって、女が死なないのは結構デ・パルマの中では珍しいのではないか。何もかも持っているよう思っていたニコラス・ケイジが、所詮は世界の歯車の一つでしかないことを悟る今作は、いつもの不能者から性的欲求を死体を死姦によって回復するいつものデ・パルマとは真逆の位置にある作品では。