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スネーク・アイズの東京キネマのレビュー・感想・評価

スネーク・アイズ(1998年製作の映画)
4.5
やはりね、デ・パルマが製作や脚本も兼ねてると面白いね。最高ですよ。お話の設定からキャラ付けから、何もかもが変態です。

主犯が正義感の強すぎるパラノイア国士。従犯で狂言回しで事件の謎解きをするのがそのお友達の主人公で、その主人公が汚職まみれのチンピラ刑事。事件の解決の糸口となるのが、近眼の目撃者なんですが、それがメガネの無い状態で目撃したもんだから、もう何がなんだか分からない状態からお話が始まる訳ですよ。こんな映画を考える奴、デ・パルマ以外に居るか〜?

で、最近のみなさんは感動に打ち震えているかと思いきや、異常に厳しい評価。この時代の15分近い長回しってのは尋常じゃあないんです。まず、カメラをステディ(安定)させて撮るのが一大事。ステディ・カムはあるけど、35m/mのカメラを担いで、移動しながらピントを合わせ、露出計算しながら(移動に合わせてライティングしてるから、普通に考えたらもうこれは不可能な世界)で撮影する訳だ。仕込み(エキストラ)だって、今のように全部合成なんて訳にいかないから、何十回もリハーサルしなけりゃ動きが合わない。それに35m/mフィルムの撮影だと、最長1,000フィートマガジンしかないから、1カットで11分くらいしか撮れない訳だ。よく編集を見てみると、解らないように別のカットに切り替えてます。

要は、こういった作業は最高の技術者をアメリカ中から揃えて、それも何百人単位のエキストラの動きを合わせながら、途中でNGっつったら、撮った1,000フィート・フィルムをポイッと捨てて(1本で何十万もするんだぞ!)、撮ったら捨てして、それを何十回も繰り返しながら撮影してる訳ですよ。もし、その現場を見たら、あまりの悲惨さに涙が出てくると思いますよ、本当に。。。

だから、やれブレてるの、随分前にヒッチコックがやってるやん、だの言わず、有り難く見てください。必ず新しい発見がありますよ。
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