焙煎マン

ジョーカーの焙煎マンのレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
5.0
全く新しいジョーカー像を構築した映画であり、新しいヴィラン映画でもある
とにかくホアキン・フェニックスの演技がすごい!そしてそれを引き立てる画作りの完璧さ!是非主演賞、アカデミー賞とってほしいです

物議を醸すような内容では間違いなくあるけど、かなり気に入った。
「危険な映画だ」とか「犯罪者を賛美してる」とか言われていますけど、まだ見てないなら嫌厭する前に己の目でしっかり考えて欲しい一作。

優れているから見て欲しいでもあるんだけど。それだけでなく、見た人の数だけ感想が生まれる。色んな方面から切り込める一作だと思うからです。
社会にきっちり属している上級国民的目線だと、「下の人間への接し方を改めるべき」という道徳でもあるし、
ジョーカーのような貧困者サイドから見れば「世界の残酷さ」を切り取った社会派映画であると

もちろん感想はこの二者に分かれるとは思ってないよ。大きく分けたらって話。どちらが正しいとも私には断定出来ませんがね。
でも、「残酷だ」とか「危険だ」って意見になるとこの映画に出てきた富裕層と同じような弱者(貧困層)への理解不足そのものになると思うのでそれは違うかなーって

私自身見て一番最初に浮かんだ感想としては、社会派映画かなと思いましたけどね
不幸だけど、しあわせになろうとするアーサーの姿はまさに人間だし、幸福を得ようとする姿にカタルシスを非常に感じた
これは、同情なのかも知れないけどネガティブ思考な私にはリンクしやすかったな

でも追い詰められたとき自分はジョーカーになれるか?と考えたら…なれないなって

日本は銃社会じゃないから引き金という名の破滅スイッチが身近に転がってない、というのも要因だろうけど。
人に向けて銃撃つのを想像したが、手が震える自分しか思い浮かばなかったから無理です…

だから次にこう考えた。やっぱりジョーカーって不幸な境遇だとはいえ、ヤバいなと
でもそう考え出すと作中でジョーカーが非難していた下層を気にしない無慈悲な社会に属する人間と同じになる

そういったジョーカーである部分と社会に属する自分を使い分けて日々過ごしているんだなーという自分を見つめ直す映画になりました
最後にジョーカーの意味深な独白で終わったり、制作側の仕掛けが「見た人が考えろ」といい意味で投げかけてくる映画。もう一度見たいです。
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